顔が見える違和感
いつの頃からか、スーパーなどで普通に売られるようになった「顔が見える野菜」。
空き袋を捨てる前にしみじみと見つめれば、やっぱり違和感がある。
確かに、いかにも実直そうなおじさんの似顔絵があり、この方が生産者だと言われれば「何となく安心できる」ような気がする。
しかも、この方は茨城県の神栖にお住まいのSさん(パッケージには実名)と惜しみなく個人情報をさらし、さらに「生産者の本当の顔(写真)は、携帯又はパソコンでご覧ください。云々」とある。
せっかくなので、拝見してみたら、ビニールハウスをバックに戸惑い気味に微笑むSさんの姿があった。
大変だなぁ。
作家とかジャーナリストだってペンネームを使ったり、ポートレートを拒否することもできるのに、農家の人はピーマン売るのにここまで体張らなきゃならないのか。
彼らにそこまでさせてしまう消費者のニーズって何なのだろう?
たとえば、こうしたニーズが「食の安全・安心」を担保するものだとするなら、不二家やミートホープで起こったことは、誰の顔をさらしたら防げたのだろうか?
大手流通業者のバイヤーが「生産者の名前や顔を知らせたほうが消費者が安心するから」という理由で個人情報の露出を求めたとして、そのニーズに応えるかどうかの判断について生産者側に選択の余地がどこまであったのかが気になる。
彼らの一人ひとりが自分たちのプライバシーをどこまで守り、どこまで露出するかということまで考えて判断するという権利が不当に取引されていなければいいのだが。
ちなみに、ピーマンはおいしかったですよ。
茄子と一緒に焼いて、大根おろしとポン酢でいただきました。



Comments
ご無沙汰しております。
10数年前、まだ有機農業が一般的に普及せず、スローフードなんて言葉を知らなかった頃、有機農業を広めるためある農業団体に「○○さんちのお米シリーズ」という企画を出し、採用された僕としては、ドキっとさせられました(笑)。
でもそうですよね。
まぁ当時は安全な食への意識が低かったので、少しでも親しみを感じてもらって、消費者に気軽に手に取ってもらえればくらいな気持ちだったんですけど、個人情報についての意識までは考えませんでしたね。
農業といえども商売ですから「売るためのちょっとした工夫は(悪いことでなければ)できるだけやれ」という意識も大切で、だからといって何でもありではない訳で、そのバランスが難しいところです。
Posted by: CRAFT BOX | July 13, 2007 at 08:29 AM
こちらこそご無沙汰しています。
10年位前に、食育の活動をしている人を取材したとき、消費者の目線に立った食材の生産や流通がようやく動き出したという話をきいたことがあります。
その少し前までは、工業製品のように作られる食材か、近寄りがたい雰囲気の自然食品店で売られる特別な食材かの二極分化していた気がします。
生産者自らが前に出てくることで消費者の意識も高まったという面もあるでしょうね。
生産者が「顔を見せる」ことが固定化することは、個人情報の問題もありますが、「単なるブランド」となることで本来の意義がどれだけ守られるか、という危惧もあります。
そして一旦なにかの問題が起こったときに、責任の所在が「個人」に帰さないことを願っています
Posted by: 藤崎りょう | July 13, 2007 at 08:23 PM